JST CREST 根圏ケミカルワールドの解明と作物頑健性制御への応用
(根圏ケミカルセンサの開発)

BSAの蛍光消光
- ダイズでは根の先端に強い消光が見られる
- ダイズイソフラボンと消光強度の相関がある
JST CRESTで行った成果です.ダイズの成長に関わるダイズイソフラボンの可視化です.ウシ血清アルブミン(BSA)の(トリプトファン)の蛍光は,ダイズのに分泌されるダイゼインなどのダイズイソフラボンと相互作用すると消光することがわかっています.ウシ血清アルブミン(BSA)をシート状に固定化して,根からの分泌物を転写し,蛍光消光を電子倍増型(EM)-CCDカメラで撮影して可視化します.BSAはガラスマイクロファイバーフィルタに化学的に結合しております(BSA固定化シート).根をBSA固定化シートに接触させ,滲出物(しんしゅつぶつ)を転写し,画像解析した結果,側根の先端で強く消光していることがわかります.ダイズイソフラボンと消光強度の相関のあることがわかっています.
エンドウとダイズ,カボチャの比較

- BSA固定化シート作製,測定条件,画像解析手法は同一
- マメ科植物のエンドウ,ダイズでは根の先端に強い消光が見られる
- ダイズより,エンドウの方が消光の範囲,強度が高い
- エンドウの蛍光消光は,ケンフェロールの配糖体と相関あり
応用として,エンドウの根滲出物の可視化も行いました.エンドウの場合は,ケンフェロールの配糖体と消光強度の相関があることがわかりました.
[1] T. Onodera, H. Miyazaki, X. Li, J. Wang, M. Nakayasu, R. Yatabe, Y. Tahara, A. Hosoki, N. Sakurai, and A. Sugiyama: “Development of Two-Dimensional Qualitative Visualization Method for Isoflavones Secreted From Soybean Roots Using Sheets with Immobilized Bovine Serum Albumin,” Biosens. Bioelectron., vol. 196, p. 113705 2022/01/15/ (2022) https://doi.org/10.1016/j.bios.2021.113705
(九州大学学術情報リポジトリの著者原稿版はこちら)
[2] 武. 小野寺, 春. 宮﨑, 大. 中安, 望. 櫻井, and 暁. 杉山: “ウシ血清アルブミン固定化シートを用いたエンドウの根滲出物の可視化,” 電気学会論文誌E(センサ・マイクロマシン部門誌), vol. 142, pp. 133-138 (2022) https://doi.org/10.1541/ieejsmas.142.133